フィルター越しのジャズ

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あなたは新幹線の速度が遅いと感じたことがありますか?そうです。東京-大阪間を2時間半で駆け抜けるあの新幹線、のぞみ号です。

 

実は私はあります。もちろん、いつもではありません。この日、私は生まれて初めて新幹線が遅いと感じたのです。

 

ある日、私はコピー案件で東京へ。顧客との打ち合わせのために東京へと足を運び、その日のうちに大阪へ帰ってくる予定でした。

 

この日私はどうしても大阪に18:00には到着しておきたい事情があったのです。

 

その事情とは、JAZZ ON TOPでのライブに参加するというプライベートな、でもものすごく重要なミッションがあったのです。

 

この日ステージで歌うのは愛川あづみさん。言わずと知れたママさんジャズシンガーです。年に数回のこのステージを私は毎回楽しみにしているのです。

 

打ち合わせは朝10時から。どんなに遅くても13時には確実に終わる、はずでした。

 

私の経験上、コピーの打ち合わせが4時間も5時間も要するなんてことは一度もありませんでしたから。

 

ところがこの日の打ち合わせは予想外に長時間に及んだのです。予定通り10時からスタートしたにも関わらず、終わってみるとなんと15:30!打ち合わせで5時間半・・・私のコピー人生の中でも最長記録です。

 

打ち合わせの事務所から東京駅までは電車で約40分。急いで電車に飛び乗り、東京駅へと向かう私。特にトラブルもなく、順調に東京駅へと電車を乗り継ぎましたが、電車の待ち時間と乗り換え時の移動の時間はどうしようもない。

 

ようやく東京駅に到着し、時間もろくに見ずに何番ホームかの大阪行きのぞみ号に飛び乗りました。

 

「もっと早く走れ!」と心の中で新幹線に悪態をつきながら、晩御飯がわりの駅弁を頬張る私。

 

やっと大阪に到着したと思ったらなんと時刻はすでに20:15!!猛ダッシュでJAZZ ON TOPへと走り着いた頃には20:20。

 

やっとライブに参加できると扉を開こうとした瞬間、実はあることに気がついたのです。

 

私が立っていたのはJAZZ ON TOPの扉の前、もちろん外側です。そこからあづみさんの歌声が漏れ聴こえるのですが、外から聴くあづみさんの声、そしてジャズの演奏がなんとも心を揺さぶるのです。

 

扉という名のフィルターを通して聴くあづみさんの歌声は、まるで小さな街の小さな野外ステージの端に設置された小さなテーブルでウィスキーを飲みながら聴くかのようで、なんの垣根もないあまりにも自由なジャズだったのです。

 

そんな雰囲気に酔いしれながら、気がつけば2分ほど扉の外であづみさんの歌声を聴いていました。

 

ハッと我に帰り、慌てて扉の中へと入る私。そこには幸せそうに楽しそうにジャズを歌うあづみさん。

 

予約の名を告げ、カウンター席へと座ってようやくいつものステージを楽しむことができた私。

 

打ち合わせが長引いたおかげで、結果的に新しいジャズの聴き方を発見することができたこの日のステージでした。

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