登山初心者が覚えておくべき怪我の応急処置法

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こんにちは!コピーライター兼登山家の松浦です。

以前、こちらで山での遭難事故、トラブルについてお話ししました。

登山で遭難しないためにあなたが知っておくべきこと

今回はさらに、登山時の怪我についてより詳細にお話しようと思います。

登山中に足をグネってねんざしてしまった!派手に転倒して手首や足首、ヒザ、腰を痛めてしまった!うっかりと転倒して膝を擦りむいた、手を切った、といった出血を伴う怪我。

本当に不愉快ですよね。

怪我の程度次第ですが、いったん怪我を負ってしまうと、とにかく患部が気になって登山に集中ができなくなってしまいます。

「歩く度に患部が痛む・・・傷口の出血は止まったかな?傷から細菌を入らないように注意しなくては・・なんとか手当できないかな・・」

下山して家に帰るまで延々とそんなことに気を取られてしまうことになるのです。実際に私がそうでした。

もちろん、怪我してしまった以上仕方のないことかもしれません。しかし、せっかくの休日を満喫しようと山に来たのに、怪我の思い出しかない・・・なんてあまりにも寂しすぎますよね?

そこで、もしあなたが、ある程度の怪我や負傷ならばなんとか気にならない程度にまで応急処置ができるとすれば、怪我を恐れることもなく、安心して山を満喫できるのではないでしょうか?

もちろん、怪我をしないことが最優先であることは言うまでもありません。

ただ、他のトラブルと同じように、好き好んで怪我をする人など誰一人としていません。誰もが怪我をしてしまう可能性を持っているのです。

そこで、今回の記事では、より詳細に怪我を追ってしまった時の応急処置の手法についてお話します。登山前、自分自身にミニ保険をかける感覚でお読みいただければ幸いです。

それではどうぞ!

目次

登山の怪我応急処置法 擦り傷・刺し傷

ある夏の日の登山中、まるでワナのように輪っか状に潜んでいた木の根っこに足を引っ掛け、激しく転倒してしまった私。比較的薄手のパンツを履いていたことが災いし、ヒザを大きく擦りむいてしまいました。

夏の登山であったため、水分補給用に大量に持っていた飲み水で傷口を洗浄できたのはよかったのですが、それ以外の応急処置の手段がありませんでした。

仕方なく、汗拭き用のタオルを傷口に巻いたものの、後から後から血が染み出してきてあっという間にタオルは血だらけ。なんとか歩行を続けたのですが、傷口が気になって仕方ありませんでした。

そのうち傷口がズキズキと痛みだしてきて、もはや登山どころではなくなりました。すぐに下山し、慌ててコンビニで消毒液とガーゼを購入したのでした・・・

これは、私の身に実際に起こった出来事です。

下山を決断した時、幸いにも山の中腹あたりだったためすぐに下山し、コンビニで消毒液とガーゼを購入できたのですが、簡単に下山できないところまで来ていたと考えるとゾッとします。

急いで下山しても数時間はかかるはずですし、注意力がおろそかになった状態で慌てて下山して転倒したり、滑落したりなど、さらなる怪我を負ってしまっていたかもしれません。

登山中でもある程度の傷は適切に応急処置できるように、ごく基本的な応急処置の知識と簡単な救急セットは極めて大事だと言えるでしょう。この記事を読んで、いざという時の対処法をしっかりとイメージしていただければ良いかと思います。

まずは綺麗な水でよく洗うこと

擦り傷の場合は、まず飲料水でケガしたところをよく洗い傷口が化膿しないようにすることが大切です。ただ、飲み水としてスポーツドリンクしかない人もいるかもしれません。

もちろん水分補給にはスポーツドリンクがベストではあるのですが、このような時のことを考えて水も持っていたほうがよい、ということです。

例えば、単独行ならば500mlのペットボトル一本は水にして、残りはスポーツドリンクにしたとします。その場合スポーツドリンクから先に飲みます。水はなるべく、無事下山するまで飲みきってしまわないようにします。下山口のバス停や車に着くまでは何があるかわかりませんから、非常食的な意味も兼ねて無くならないように配分して飲むのが理想的です。

ザックに入れておきたい消毒液

私が小学生だった頃、頻繁にお世話になっていました。放課後に道路、公園、砂利道、田畑などところかまわず友達と走り回っていた時、こけてヒザを擦りむいた状態で帰ってから待っていたのが、このマキロンでの消毒でした。

登山中の傷にももちろん極めて有効です。

また水で洗うといっても、沢の水にはどんな菌が入っているかわかりませんから、可能な限り水筒の飲み水を使って洗います。とは言っても登山ではその水筒の中の水は沢の水だったりしますから、やはり消毒液をメンバーで1つ持っていると安心です。

このタイプは標高が高くなり気圧が低くなると中の液体が漏れる心配があります。一度使ったものは漏れやすいのでビニールに入れることと荷物などでさらに潰さないように気をつけるとよいでしょう。

傷の応急処置、基本ステップ

1.洗う
2.消毒
3.傷口の保護(絆創膏・ガーゼ・ガーゼ&テーピングテープ・包帯)
4.圧迫して止血*

*止血が必要な場合、かなりの緊急性を要す上に医療の知識が必要です。止血法についてはこちらを確認。

不十分な応急処置の水洗い

傷を負った場合、とにかく初期のこの水洗いが非常に重要です。

応急処置での水洗いが不十分、あるいは細菌が入った水で洗浄してしまった場合、傷口が化膿してしまうことがあります。特に山では、土から細菌が傷口に侵入してしまうことがあり、より注意が必要です。

また、キズパワーパッドなどのような、乾かさずに傷口をくっつけるタイプの絆創膏を使う場合は、消毒液や軟膏を使ってはいけません。

刺し傷の応急処置

ここまで擦り傷の応急処置についてお話してきました。傷口の洗浄や消毒、保護がその基本的な方法でしたが、ここで1つ、例外となる傷口についてお話しします。

例外とは、刺し傷です。刺し傷の場合、無理やり抜いてしまうと出血を引き起こしたり傷口が広がったりしてしまいます。

そのため抜いたり洗ったりせずに、そのまま固定して大至急下山し、医療機関に任せます。手順は次のとおりです。ここでは、木の枝が刺さったものと仮定しましょう。

1.刺さった枝が長い場合、切って短くし、下山のジャマにならないようにする。
2.刺さった枝を固定すべく、根本にガーゼなどを当てテーピングテープで傷口周辺を圧迫しつつ巻きつける。圧迫することは止血の役割もする。とくに枝が絶対に動かないようにする。

直接圧迫法を覚えておきましょう

滅多にないことですしそう願いたいのですが、万が一登山中に大量の出血があった場合についての対処法をお話します。

パートナーもしくはあなた自身が大量の出血を伴う傷を負ってしまった場合、かなり気が動転すると思います。しかし、動転してどうにかなるものではありません。負傷者の命を救うために、1つだけ止血法を覚えておきましょう。現在では直接圧迫法のみで行うのが主流となっています。

直接圧迫法の手順は次のとおりです。

1.出血が多ければ、抑える手にビニール袋などをはめ血液に触らないようにする(傷への感染予防)。
2.傷口にきれいなガーゼ・ハンカチなどを当て、その上から手で圧迫する。
3.片手で止まらない時は、両手で体重をかけて圧迫する。
4.再出血が心配される時は布は外さない。止まりづらい場合は、傷口を心臓より高くする。

これで、ほとんどの出血は止まります。止血法のより詳しい情報はこちら

薬の服用の効果

切り傷などで傷が痛む時、バファリンなどの鎮痛剤を飲むことも有効です。当たり前ですが、用法・用量を守りましょう!

傷による下山のタイミングは?

もちろん傷や出血の程度や本人の気持のショック度合いに依りますし、また長期山行であれば感染の心配もあります。大丈夫だろうと思って行程を進めた場合のエスケープルートの有無なども考えて判断したいところです。

ただし、以下の症状があれば直ちに下山してください!大至急治療する必要があります。

・皮膚の下の黄色い脂肪が見えるくらい切ったり擦ったりした時 (→感染・縫う必要性の有無)
・刺し傷の時 (→ 医療機関で抜いてもらう)

 

ザックに入れておきたい応急処置用道具

登山の怪我応急処置法 ねんざ・ひざ痛・骨折

ここでは、登山で最もよく起こりやすい足首のねんざ、ヒザ痛、転んだ時に手を突いて手首やヒジや肩を傷めた場合の対処法を説明しています。
どの場合も、RICE処置を基本原則としてケガした部位を固定し、自力下山する場合は負担をかけないように歩く事が大事です。
RICE処置とは?

RICE処置とは、応急処置の基本であるRest(安静)Ice(冷却)Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字をとったもので、打撲やねんざなど、スポーツでよく起こるケガの多くに対応できる応急処置です。
処置が早ければ早いほどケガの回復は早くなるので、このRICE処置はとても有効な応急処置法といえます。

内出血や腫れ、痛みを抑えるのに効果的。打った、ぶつけた、ひねった、引っ張られた、といったスポーツで起こりやすいケガの多くに対応できます。RICE処置をすると、痛みや腫れがひどくなるのを防ぐばかりでなく、治りも早くなります。ただし、RICE処置はあくまで応急処置であり、治療ではありません。RICE処置のあとは、必ず整形外科かスポーツ医を受診しましょう。

 

この場合に注意したいことは以下のとおりです。

  • 足の場合はトレッキングポールや木の枝を杖にして負担を軽くする
  • 荷物は他のメンバーが分担して持つか、デポ(その場に置き去りにすること)する
  • 血が止まるくらいきつく固定・圧迫していないか時々チェックする

足首のねんざ・骨折

ねんざは、登山中の怪我で比較的起こりやすいものに該当します。

例えば、うっかり変な角度で石を踏んで足首をグネってしまう場合、また転倒した弾みで手首を痛めてしまう場合などがよくある事例です。

特に、疲労が溜まって集中力が散漫になりやすい下山時などは、注意が必要です。

では、ねんざとはどういう状態のことをいうのか?

ねんざは、関節に関節の許容範囲を超えた動きが与えられた為におきる損傷の一つである。多くは患部に痛みと腫脹、熱感を伴う。一般用語として多用されるが、医学用語としては更に損傷部位を限局し、○○靭帯損傷ということが多い。

要は、靭帯や腱が伸びてしまったり一部切れてしまったりした状態です。足首を固定することでその後の下山の痛みを軽減することができます。

テーピングテープで足首の固定の仕方

テーピングテープには、いろんな種類があります。テープの幅ごとに分けられていますが、私の経験上38mmのものが最も使いやすいと思います。

これを1つザックに入れておけば、先ほど紹介したように、刺し傷の応急処置にも使えます。

足首をひねってしまって、なんとか歩けるけども歩くと痛い、という時に手軽な固定方法を下に紹介します

固定方法はこれに限らず、他にも多くのやり方があります。もしあなたが、かつて運動系の部活に所属していたならば、そこでテーピングの方法を学んでいるかもしれません。あなたが覚えた方法があるならば、それをそのまま実践するか、そこからさらに応用しても良いでしょう。

要は傷めた部位をこれ以上動かさないことと適度な圧迫をすることが重要です。そしてテープで固定した後は、靴ひもはいつもよりしっかりと締めて、足首が動くことのないようにしましょう。

テーピングテープを使ったことのない人へ

もしあなたが、テーピングテープなど使ったこともない、のであればこの商品をおすすめします。

だれでも簡単に貼ることが出来るように工夫されています。ひねった時だけでなく、マラソン大会の前等に足首に不安がある場合などにも保護・サポートの意味でも使用されています。

そして下山した後は、患部を冷やすことと固定することが大事です。

軽いねんざであっても、1週間位はもんだり無理に動かしてはいけません。無理に動かすと靭帯が緩んだままになり、治療が長びくだけでなくねんざぐせを残してしまいます。

靴の上から足首を固定する仕方

三角巾などで登山靴の上から足首を固定する方法で、靴を脱いだら腫れのためにまた履けなくなりそうな場合などに使います。

骨折が疑われるときなどは、さらに靴の上からかかとに副木を当て、より厳重に固定します。

ヒザの痛み

あなた
下山途中に着地した衝撃でヒザが痛くなった、ひねった、勢い余って岩にぶつけてしまった・・・

靭帯を傷めたり、半月板を損傷したり・・・ヒザは登山で最もダメージを受けやすい部位のひとつです。この場合もRICE処置を基本とし、自力下山する時はなるべく衝撃を加えないようにしましょう。

テーピングテープによる固定方法

  1. ヒザのお皿を両方から包むように、下からテープを貼る
  2. お皿を下から支えるように、一周する

ちょっと貼るだけでヒザへの負担がだいぶラクになります。

詳しくはこちら

便利なテーピング

包帯的に巻き直しができ、手で切れるしテープ同士がくっつくので留め具も要らないので便利なテーピングです。また、伸縮があるので適度なサポートができるし、何回も使えるのが良い点です。

さらに、テーピングを巻くのに慣れていないという人におすすめです。先ほどの「足首かんたん」の親戚のような商品で、 傷めてしまう前でも、ヒザの保護・サポートのためにも利用されています。

ヒザの骨折や脱臼が疑われるときの固定方法

おしりからカカトの下までを副木で覆って固定します。

詳しくはこちら

 

手首、肩、腕の付け根の痛み

登山道での転倒の際、身体をかばうために真っ先に地面に接触するのが手です。この時、転倒時の衝撃が強いと手首や肩まで痛めてしまうことがあります。

この時、当事者だったとしても、痛みを感じる箇所の症状まではわかりません。ねんざなのか、骨折なのか、脱臼なのか・・・

ただ、どの場合であっても、登山中では傷めた箇所を固定して痛みを最小限に抑えつつ下山し、病院へ行くしかありませんが、箇所次第では固定しつつ冷やす事もできます。

応急処置として適切に患部を固定をしておけば、その後の完治も早くなります。

前腕(手首からヒジ)や手首を傷めた場合の固定方法

  1. 副木で手首からヒジまでをカバーする
  2. 包帯やテーピングテープで副木を固定する
  3. ウデが水平になるように、三角巾やバンダナ、タオルなどで首から吊る
  4. 別のヒモなどで胸に固定し、動かないようにする

吊るものを持っていない場合は、このようにTシャツをまくりあげて安全ピンなどで簡単に固定することができます。

ヒジを傷めた時の固定方法

ウデ全体を覆えるくらい長い副木を探し、ヒジ以外の上下を固定します。

肩(ウデの付け根)を傷めた時の固定方法

包帯などを使って、腕全体が動かないように上半身に巻きつけ、固定します。

打撲・ねんざ・骨折の基本原則はRICE処置

打撲・ねんざ・骨折は山で最も多い事故です。これらの応急処置はやはりRICE処置が基本となります。

実際に山でこの通りに処置するのは難しい場合が多いですが、正しく行えば痛みと腫れを押さえ、治りも早くすることができるので覚えておきましょう。関節痛、肉離れの時も同様です。

ここでRICE処置について、もう一度記載しておきましょう。極めて重要です。

[ R ] → Rest(安静)

ケガをした部位をそっとしておく。テーピングテープなどを使って固定する。

[ I ] → Icing(冷却)

冷やすことは痛みを軽減し、内出血を防ぎ、炎症を抑える。長時間行う必要があるので、山では宿泊予定地に雪渓や沢があった場合などしかできないかもしれない。時間は24~48時間、休みながら行う。

[ C ] → Compression(圧迫)

圧迫することで、出血と腫れを防ぐ。弾力包帯、三角巾、テーピングテープなどを使用する。圧迫しすぎてしびれたり白くなったりしないよう、そうなったら一旦緩め元に戻ったら再び圧迫する。

[ E ] → Elevetion(拳上)

ケガしたところを心臓より高くすることで痛みや腫れを減らすことが出来る。休憩時などに行う。もちろん他のケガした部位に悪影響が出ない範囲で行う。

副木に有効なサムスプリント

副木専用の道具でサムスプリント という商品があります。これです↓


まわりはウレタンですが中にアルミが入っており、自在に変形するのでどの部位にもフィットし充分な固定強度が得られるという商品です。ハサミでも切れます。

例えばこんな風に使います↓

 

医療用の道具で高価なため、1人1つという訳にはいかないと思いますが、メンバーの中に初心者や高齢者がいるパーティーのリーダーは持っていると良いでしょう。

他に副木に利用できるもの

  • トレッキングポール
  • ザックのフレーム
  • 新聞紙
  • 木の枝

などがあります。イメージしておくといざというときに役に立ちますね。

最後に

登山時の怪我は、日常生活における怪我よりも深刻な状況に追い込まれやすくなります。

普段の生活でねんざしたならば救急車を呼べば良い。地域にもよりますがほとんどの場合、ものの5分であなたの元に駆けつけてくれます。後は、病院へまっしぐら。救急搬送にかかる費用は、国が負担してくれます。

しかし、登山中ではそうはいきません。もちろん救急隊や救助隊が駆けつけてくれますが、場合によっては、あなたがどこにいるかも分からない、あなたの居場所を捜索するところから始めなくてはならないのです。

そうなると、あなたは自分自身で応急処置をするしかないのです。あなたが応急処置の道具をザックに入れているか否か、そして応急処置の知識を持っているか否か、そこが運命の分かれ道になるのです。

最悪の場合、あなたが遺体となって発見されることもあり得るのです。当たり前ですが、誰もがそんな事態を防ぎたいはずです。

そんなことにならないためにも、登山初心者であるあなたには、是非ともここで紹介した応急処置方法を身につけていただきたいと思います。

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