もし私が登山未経験者向けに登山についての講義を行うならば、1コマ目の講義内容は「登山時の服装について」となります。
どんな競技でも、その競技ごとに必要な道具、服装があります。
野球ならば、まずはバットとボールとグローブが必要、ユニフォームとキャップ、スパイクがあればなおよし!サッカーならば、まずはボールが必要、ユニフォームとスパイクがあればさらによし!
中には「俺は形から入るんだ!」と言って、未経験者にも関わらず、高級モデルを取り揃える人もいます。「下手くそのくせに道具だけは立派だ 笑」と笑われてしまう人ですね。
野球やサッカーならば、未経験者は道具が安物や中古品でも十分だと思います。上達した時に高級モデルを買う!と決めれば、上達への励みにもありますし。
しかし、登山に限っていえば、出来るだけ形から入って頂きたいと思っています。なぜなら、登山では、いざという時道具の良し悪しが命に関わる場合があるからなのです。
高級モデルは高級モデルなりの理由がある。それはそのまま生きて下山することに直結します。
安物を身につけていたために命を落としたというケースが本当にあるのです。しかし、登山未経験者のあなたに、10万円以上もかけて登山服買わせるようなことはしません。
安価でも意外と高機能を発揮する服、組み合わせ次第で高級モデル並みの機能を発揮する服装がちゃんとあるのです。
もちろん、組み合わせを間違えるとそんな機能は発揮しないどころか、逆効果となってしまうこともあるのです。場合によっては命に関わります。
それだけ極めて重要な登山時の服装、しっかりと解説いたします!
ではどうぞ!
目次
登山の服装を最優先に考える

あなたが「さあ!山に登ろう!」と思った時、まず始めに何をしなければならないか。
- 体調を整える
- 体力をつける
- 週間天気予報を確認する
- ストレッチをする
- どの山に登るかを決める・・・
いろいろ思いつきますよね?山という場所、登山という活動が、それだけ日常とかけ離れたものであるということです。
そのために準備しなければならないことが多すぎて、それだけでウンザリしてしまう人もいます。でも、それって勿体無いと思います。一度慣れてしまえば、本当に最高に素晴らしい世界が待っているのに・・・
でも初めて山に登ろうというあなたにとっては、確かに準備は大変です。何しろわからないことだらけでしょうから・・・
私も登山初心者だった頃はいろいろと大変でした。最初のうちは、とにかく自己流で思いつくままに準備し、日帰り登山にも拘らず60Lのザックにパンパンに荷物を詰め込んで山に登り、結局ほとんど使わないまま下山・・・ということを何度か繰り返しました。
ただ、その甲斐あって次第にザックの中身は厳選され、今では登山準備は5分とかかりません。本当に必要なものが何かわかっているからです。ザックの中のものを無駄なく使っていますし、足りないものがあっても、あるもので工夫すれば乗り切ることができます。
ザックの中身についてはこちらをご覧ください。
↓
登山準備一式
それよりも、まずは?
あなたが登山を始める際に一番初めに決めなくてはならないこと、それは登山でどんな服装をしていけば良いかということです。
当然ですよね?いくらあなたが普段サラリーマンでもまさかスーツで登山するわけにはいきませんし、いくら仕事ではないと言ってもまさかジーパンで登山するわけにもいきません。
登山には登山に適した服装というものがあるのです。それをここで解説します。
登山の服装の重要性について

かつて登山靴、ザック、レインウェアは登山の3大装備と言われていました。
昔は登山道具が今ほどたくさんなかったため、この3つが絶対に必要と言われ、逆に他がなくともこの3つさえあればなんとかなるとも言われていました。
これら3つと同じくらい、むしろそれ以上に登山の服装は重要です。
登山は天候次第で一日中雨の中を歩くこともあり、強風にさらされ続けることもあり、夏に寒さを感じることもあり、晴れの予報で大雨に見舞われることもあり・・・とにかく過酷です。そんな過酷な状況でも快適に過ごす鍵となるアイテムが服装なのです。
季節や気象条件にマッチした服装であれば、驚くほど快適に登山を楽しむことができる一方、服装を間違えればこの上なく不快です。
では、季節や気象条件にマッチした服装とはどんな服装なのか?
その答えは、実は登山ショップに行けば判明します。登山ショップには登山に適するようにと考案された機能的な服が山のようにあります・・・があまりにも多すぎて結局どれがいいかわからなくなるはずです。それに何と言っても高価です。
などと私が言ってしまうと、あなたはきっと登山を諦めてしまうでしょう。
ここからは、あなたが自宅に持っている服をどのようにコーディネートすれば登山で使える服になるか、そして最低限どれを買えばいいのかを解説しようと思います。
これであなたは最少限の出費で高機能な登山服を揃えることができるはずです。
登山の服装は普段着から

繰り返しますが、登山はそんな大自然の中を歩くので自分の身を守る服はとても大事です。かと言って、不必要に高機能で高価な服を買い揃える必要はありません。
高価なアウトドアウェアにはメリットがたくさんありますが、あなたが毎日着ているシャツやトレーニングウェア等の普段着を代用することができるのです。
登山ショップでは多くの登山用ウェアが販売されています。軽いもの、汗が乾きやすいもの、ストレッチ素材の動きやすいもの、頑丈なもの・・・などなど。もちろん、どれも優れた商品です。
もしあなたがお金持ちならば、それらを用意して万全の体制で登山に臨むことをオススメします。ただ、この記事を読んでいるほとんどの方にとって、登山ショップの商品は高価に感じるはずです。
ここで1つ質問させてください。この中にあなたの自宅のクローゼットにしまっている服はありますか?
- 夏によく着るTシャツ3枚くらい
- ユニクロのフリース1枚
- 高校の体育で使ったジャージ上下
- 動きやすい綿パンツ
- レインウェア上下
- 部活で使ったウィンドブレーカー
もしあなたがこれらのものを買わずに用意できるのであれば、ひとまず登山ショップで登山服を購入する必要はありません。例えば、これらの服を春・秋登山用にコーディネートするならば、こうなります。
- アンダーレイヤー :Tシャツ
- ミッドレイヤー :ユニクロのフリース、ジャージ上のどちらか
- アウターレイヤー :レインウェア上、ウィンドブレーカーのどちらか
- ボトムス :綿パンツ
このスタイルで夏登山や春・秋登山が十分可能です。簡単ですよね♫
一度あなたの自宅のタンスやクローゼットを棚卸ししてみると、他にも登山に使えそうな服が眠っているかもしれません。登山ショップに行く前に、まずは自宅にある服でコーディネートしてみてください。
その上で、もしどうしても足りない服があるならば、それだけを登山ショップで買えばいいのです。あるものを最大限利用してリーズナブルに!これも登山の素晴らしいところです。
登山の服装の基本は重ね着
山では気温が激しく変化するため、登山開始時のスタイルを下山するまで維持することはほとんどありません。
登山中も休憩中も突然の雨の中でも快適に過ごすには、気温や体温に応じて服を脱いだり、着込んだりする必要があるのです。つまり、登山の服装の基本は重ね着です。
先ほど、登山スタイルの例で、アンダーレイヤー、ミッドレイヤー、アウターレイヤーのお話をしました。登山での重ね着は、この3段階で構成されているのです。
アンダーレイヤー:下着やTシャツなどの最も肌に近い服
ミッドレイヤー :アンダーレイヤーの上に着る中間着
アウターレイヤー:保温や雨風の侵入を防ぐための上着
あなたがどの季節にどの山に登ろうとも、この3段階の重ね着が登山スタイルの基本となります。覚えておきましょう!
季節と標高ごとの登山の服装早見表
当たり前ですが、季節ごとに登山の服装はガラリと変わります。
普段の生活で、あなたが服装を間違えることはあまりないと思いますし、間違えたとしても大して影響はありませんよね。
ただ、これが登山だと影響は結構大きくなります。できれば、全く着ない服をザックの中に詰め込みたくありませんし、服が足りなくてガタガタ震えるような事態は絶対に避けたいですよね。
ただ、山の気温は平地とは全く異なるので、平地の感覚で服装を決めてしまうと失敗してしまいます。
そこで、季節ごと、標高ごとのそれぞれ適した服を早見表にまとめてみました。あなたの快適登山のお役に立てていただければうれしく思います。
春・秋登山 | 夏登山 | 冬登山 | |||||
低標高 | 高標高 | 低標高 | 高標高 | 低標高 | 高標高 | ||
アンダー レイヤー |
化学繊維(Tシャツ等) | ○ | ○ | △ | ○ | ○ | ○ |
綿素材(インナーシャツ) | △ | × | ○ | △ | × | × | |
ウール素材 | ○ | △ | △ | ○ | △ | △ | |
ミッド レイヤー |
ナイロン素材(フリース等) | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○ |
化学繊維(スウェット等) | △ | △ | ○ | △ | △ | △ | |
アウター レイヤー |
ダウン素材 | △ | ○ | × | × | ○ | ○ |
ハードシェルジャケット | △ | ○ | × | × | △ | ○ | |
ソフトシェルジャケット | ○ | △ | × | △ | ○ | △ | |
ボトムス | タイツ | △ | △ | △ | ○ | ○ | ○ |
トレッキングパンツ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
ハードシェルパンツ | × | △ | × | × | △ | ○ | |
ソフトシェルパンツ | △ | ○ | × | × | ○ | △ | |
ハーフパンツ | △ | × | △ | △ | × | × | |
その他 | レインウェア | ○ | ○ | ○ | ○ | △ | △ |
タオル | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
帽子 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
薄手の手袋(軍手等) | △ | ○ | △ | ○ | ○ | ○ | |
厚手のグローブ | × | △ | × | × | ○ | ○ | |
ヘルメット | △ | ○ | △ | ○ | △ | ○ | |
○・・・必要 △・・・状況次第であった方が良い ×・・・不要 |
この表をもとに、それぞれの季節、それぞれの山の標高ごとに登山スタイルのコーディネートしてみるとこんな感じになります。
登山の季節 | 標高 | 登山スタイルの例 |
---|---|---|
春・秋登山 | 低標高 | Tシャツ、フリース、ソフトシェルジャケット、トレッキングパンツ、タイツ、レインウェア、タオル、帽子、軍手 |
高標高 | Tシャツ、フリース、ダウンジャケット、ハードシェルジャケット、トレッキングパンツ、ハードシェルパンツ、タイツ、レインウェア、タオル、帽子、軍手、ヘルメット | |
夏登山 | 低標高 | インナーシャツ、スウェット、ハーフパンツ、タイツ、レインウェア、タオル、帽子、軍手 |
高標高 | インナーシャツ、フリース、トレッキングパンツ、タイツ、レインウェア、タオル、帽子、軍手、ヘルメット | |
冬登山 | 低標高 | Tシャツ、フリース、ダウンジャケット、ハードシェルジャケット、トレッキングパンツ、ソフトシェルパンツ、タイツ、レインウェア、タオル、帽子、軍手、厚手のグローブ、ヘルメット |
高標高 | Tシャツ、フリース、ダウンジャケット、ハードシェルジャケット、トレッキングパンツ、ハードシェルパンツ、タイツ、タオル、帽子、軍手、厚手のグローブ、ヘルメット |

*プリントアウト用ファイルはこちらです。
もちろんこれはあくまでも一例で、最近はもっとおしゃれに登山を楽しむ人が増えています。
特に若い女性の登山家のみなさんは本当におしゃれで、山でそんな女性を見かけるとそこだけがパーっと一面のお花畑になったような雰囲気になります。
ぜひあなたも上の表をを参考にして、おしゃれに快適に登山を楽しんで頂きたいと思います。
極地すら快適にする登山の服装
ソフトシェルジャケット
上の表で、ソフトシェル、ハードシェルといった服が登場しましたので、これについて解説いたします。ソフトシェルジャケットとはこれです。
表にもあるように、春登山や秋登山また、夏の標高の高い山の登山で大活躍する服で、アウタージャケットとしても中間着としても活用できます。
完全防水ではないけどちょとくらいの雨ならはじいてくれ、ストレッチ性があり、寒さをカバーしながら快適に行動できることをメインとしています。
ソフトシェルの最大の特徴といえばストレッチ性があり動きやすいこと!ほかにも、防風性、吸湿性、撥水性があり、ブランドによっては適度な保温性もあります。
ソフトシェルジャケットの長所と短所をまとめました。また同素材のソフトシェルパンツもあり、機能や特徴はジャケットと同様です。
【ソフトシェルの長所】
- 防風性がある
- 吸湿性、通気性に優れる
- 撥水性があり小雨小雪をはじく
- ストレッチ性があり動きやすい
【ソフトシェルの短所】
- 完全防水ではないので大雨では不可
- 長時間の登山で天候の急変が予想される場合は不向き
ハードシェルジャケット
ハードシェルジャケットとはこれです。

見た目はソフトシェルジャケットと変わりはありません。ただ、これこそ極地での登山でも快適に過ごすことができる最強の防寒着と言っても決して言い過ぎではないと思います。
そもそもハードシェルは1番外側に羽織るジャケットであり、雪山などの登山・山岳スキーを想定して作られています。生地はシャカシャカしていて固い感じで、破れにくくなっています。
冬山ではアイゼンやピッケルのようなあたると破けてしまう用品を持っていったり、雪混じりの雨風にあうこともあるので、ハードシェルのようなタフなジャケットが理想です。そんな理想を現実にした服がハードシェルジャケットなのです。
また極めて雨風に強く、突然の強風や大雨にも平然と耐えます。各社が扱うハードシェルジャケットのほとんどがゴアテックス、もしくはそれに匹敵する機能を有する素材を採用しているので、保温効果を保ちつつ蒸れを防ぐという長所もあります。
ゴアテックス素材についてはこちら
↓
登山用レインウェアに欠かせないゴアテックスとは?
敢えて短所を挙げるならば、やはり高価です。また、ソフトシェルジャケットと比較するとゴワゴワ感があり、動きやすさしなやかさは劣ります。
また同素材のハードシェルパンツもあり、機能や特徴はジャケットと同様です。
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