今回は、登山中のトラブルで最も恐ろしいものの1つ、クマとの遭遇、そしてその対策についてお話します。
もしあなたが登山初心者ならば、絶対に覚えていただきたい知識の1つです。なぜなら、自然豊かな山にはある一定数のクマが生息しているためです。
なんとなくマスコット的であり可愛らしいイメージのあるクマですが、いざ登山するとなるとそうも言ってられません。それ相応の準備が必要です。
人の性格や体格がそれぞれ異なるのと同じように、クマもいろいろです。比較的おとなしいクマもいれば、凶暴なクマもいるでしょう。種類によっては、人よりもやや小さめだったり、人よりもはるかに大型だったりします。特に、北海道に生息するクマはかなりの大型です。
しかし、たった1つ全てのクマに共通する点があり、それが、人を襲う可能性があるということなのです。
実は過去いくつものクマによる被害事例が発生しており、どの事例おいても被害者は死亡、もしくは重傷を負っています。
この記事の冒頭では、まず熊にまつわる7つの事件を紹介します。どれも目を覆いたくなるような事件ですが、クマと遭遇してしまうとどうなるか。その現実をしっかりとお伝えせねばなりません。
その後、主にこの3点に焦点を当ててお話いたします。
- クマと遭遇しないためにはどうしたらいいか?
- 万が一遭遇してしまったら?
- 何よりクマとはどういう動物なのか?
なにも熊と生存権をかけて戦争するわけではないのです。熊についてより理解を深めることが、あなたにとっても熊にとっても良いことだと思います。
それではどうぞ!
クマにまつわる9つの事件
毎年春以降、全国でクマの目撃が相次いで報告されます。そうしたなか、山に入った人がクマに食べられてしまうという凄惨な事故もおこってしまいました。
人を恐れるばかりか、人を食べ物と認識してしまった個体ではないかといわれています。本来は臆病な性格のクマですが、やはり食肉目の大型動物であることは事実、十分な注意が必要なのではないでしょうか。
男性がクマに襲われ額や腕をかまれ怪我
カメラで捉えられた養蜂箱を壊すクマの姿
人的被害は無かったものの、青森県八戸市ではこれまでになかったクマの行動が報告されています。
かねてよりミツバチの養蜂箱が壊される被害があったため、市は付近に3台のカメラを設置しました。録画された映像には夜間クマが養蜂箱を前足で破壊して中のハチミツを食べる姿がありました。
養蜂箱の持ち主は「何十年も養蜂をやっているがこんなことは初めてだ」と話していました。
測量作業中の男性がクマに襲われる
岩手県盛岡市の山中で、測量作業をしていた男性会社員がクマに襲われ左腕と背中にケガを負う事件がおきました。
同僚と二人で入山した男性は、木を伐採しているところでクマに襲われました。男性は持っていたハンマーでクマに抵抗、するとクマは去っていきました。男性はクマよけのスプレーと鈴を携帯していたそうです。
タケノコ採りの女性、死亡した状態で発見される

秋田県仙北市の山林で、タケノコ採りに来ていた女性が遺体で見つかりました。女性は頭や肩に傷を負っており、状況からクマに襲われたものみられています。
女性は年に何度も山菜を採りに山に入っており、クマよけの鈴を付けるなどクマの危険は認識していたと言います。この日も鈴を2つ付けていたことが分かっています。
秋田県では昨年の5月から6月にかけて、クマに襲われて4人の人が死亡しています。
島根県で鮎釣りの男性が熊に襲われ指切断

島根県浜田市の八戸川で鮎釣りをしていた男性が、体調1.5mのツキノワグマに襲われ小指を失う重症を負いました。
男性は河原で釣りの準備をしていた際、突然正面からクマに襲われたそうです。命に別状がなかったのが不幸中の幸いです。
鳥取市中心部で熊出没

鳥取市の市街地にも近い登山道で、70代の男性ハイカーがクマ2頭に遭遇するという事件が発生しました。
2頭の体長はいずれも150cm程度、男性はそのうち1頭に10mほど追いかけられたそうです。市は看板を設置するなど注意を促しています。
秋田で4人が犠牲に。熊の体内から人体の一部
秋田県では山菜を採りに山へ入った人が相次いで襲われる事故が起こり、4人もの尊い命が失われてしまいました。
地元の猟友会員が遺体発見現場付近でクマを発見し射殺。体長130cmのこのクマの胃の中からは、被害者の体の一部が見つかりました。
福岡大ワンゲル部・ヒグマ襲撃事件

クマによる事件は過去にも起きています。1970年の北海道カムイエクウチカウシ山で、福岡大学のワンダーフォーゲル部のメンバー5名がヒグマ1頭から執拗な追跡を受け、その結果3名が殺害されてしまいました。多くの日本人とりわけ登山愛好家を震撼させた事件です。
三毛別羆事件

およそ100年前の北海道でおきた三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)では、巨大なヒグマが数度にわたり民家を襲い、7名が死亡し3名が重症を負いました。討伐隊によりヒグマは射殺され事件は終焉。日本最大級の動物による食害事件として現代でも語り継がれています。
熊の種類やその気になる生態
日本国内に生息するクマは2種類です。それぞれの特徴を確認しておきましょう。
ニホンツキノワグマ(ツキノワグマ)

生息地
本州および四国に生息し、九州では絶滅したとされています。
サイズ
体長:120cm~150cm
体重:オス約80~130kg、メス50~80kg
食べ物
雑食性とされていますが、主に植物を主食としています。動物の死骸食べる他、まれにカモシカなどを捕食することがあります。
冬眠から覚める・・・新芽や若葉、ドングリ
春から夏・・・花や木の実、竹の子などの山菜、蜂やアリ。木苺などの甘い果実
秋・・・ブナやナラ類の実、果実など
生態
基本的には臆病な性格で、人間の気配を感じると見つからないよう逃げていきます。ただし視界の悪いところでバッタリと出会ってしまったり、子供を連れた母グマが子供を守るために、人間に襲いかかることもあります。食べ物の匂いに非常に敏感で、食べ残しの匂いに釣られて近づいてくることもあります。
エゾヒグマ(ヒグマ)
生息地
北海道の森林および原野。
サイズ
体長:160〜230cm
体重:120〜250kg、個体によっては400kgに達することも。
食べ物
ヒグマも雑食性で主に植物を食していますが、シカの死骸なども食します。1990年代に農林業への被害が増えたため大量のシカの有害捕獲を行った結果、ヒグマがシカの味を覚え現在では生きたシカも襲って食べるようになっています。
春から初夏・・・フキなどの植物の若葉
夏から秋・・・ヤマブドウなどの果実やドングリ
性格
陸上に住む動物としては日本最大です。走り、泳ぎ、木登りいずれも得意としています。普通は人を避けて暮らしていますが、残飯などの食べものの匂いに釣られて、人の生活圏に侵入することがあります。人を見たら必ず襲ってくるような攻撃的な動物ではありませんが、遭遇したときは慎重な対応が必要とされます。
クマに遭遇してしまったら
本当に滅多に無いことですが、登山中にバッタリとクマと出会ってしまったらどうしたらいいか?あなたはきっとパニックになって、もしかしたら死を覚悟してしまうかもしれません。
しかし、慌てないでください。そんな最悪とすら思える事態に対してもちゃんと打つ手はあるのです。あなたが冷静になって(これが難しいかもしれませんが・・)対応すれば、事なきを得ることはできます。
では以下に、その打つ手を紹介いたします。
驚いて大声を出さない
突然大きな音をたてるとクマがパニックになり襲いかかってくることがあります。思わず悲鳴をあげてしまうかもしれませんが、そこはぐっと我慢して冷静に。
走って逃げない
クマは逃げるものを追いかける習性があります。間違ってもダッシュで逃げるようなことはしないでください!
熊が全力で走ると時速60km/hもの速さになります。ウサイン・ボルトよりはるかに速いのです。間違いなく追いつかれ、そして襲われます。
クマの方を向きながらゆっくりと後ずさりしてその場を離れてください。
死んだふりをしない
雑食性のクマは死んだ魚や動物を食べることがあります。倒れて死んだふりをするあなたをご馳走だと判断するかもしれません。
死んだふりが有効という説もありますが、それはその時のクマの状況次第です。もし、その時クマが空腹の状態だったら、死んだふりをしているあなたを貪り食うでしょう。
そうなると、やはり死んだふりという対策はあまりにも危険と言わざるを得ません。
クマ撃退スプレー
クマと遭遇しこちらに近づいてくるようなら、クマ撃退スプレーを顔に向けて吹きかけましょう。
ただ、いつどこで遭遇するかもわからないクマ。ザック奥深くにしまい込んでいては役に立ちません。すぐに取り出せるようにしておきましょう。

カウンターアサルト
トウガラシが主成分のクマ撃退スプレーです。安全な非可燃ガスを使用して射程郷里は約9m。野犬やイノシシにも対応します。

クマ鈴を鳴らす・ラジオをかける
先ほども言いましたが、基本的にクマは臆病な動物です。あなたがクマに遭遇したくないのと同様に、クマだって人間なんかと出会いたくないのです。
クマとの遭遇であなたはパニックに陥ると思いますが、実はクマも同じ心境なのです。
クマだって自分を守るのに必死!その結果、人を襲うという悲劇が生まれてしまうのです。
従って、こちらがラジオや鈴などで音を鳴らしながら歩けば、クマの方から避けてくれるのです。
ただし、先ほど紹介した秋田の事件にように、クマ鈴をつけていた人が襲われてしまったケースもありますので過信はしないようにしましょう。
クマよけ用の鈴です↓

なるべく一人の行動を避ける
クマに襲われた被害者の多くが、一人でいるところを狙われています。山へはなるべく複数で入り、大きな声で会話をするのが有効という専門家もいます。
また複数いる場合は万が一襲われたときも応急手当や救助の要請がしやすいというメリットもあります。
残飯や生ゴミは絶対に捨てない
匂いに敏感なクマは残飯に引き寄せられてしまいます。その結果、本来人を避けるはずのクマと人とが遭遇してしまうのです。
そもそもクマどうこうというよりも、人としての最低限のマナーです。野山に食べ物を捨てるなどという行為は絶対にやめてください。
また注意点としては、なるべく香りが弱い食べ物を携行することをお勧めします。また、携行する食料もなるべく匂いがしないよう密閉することをお勧めします。
山はクマの住みか
何度も言いますが、本来クマは臆病な動物です。
クマからすれば、得体の知れない人間なんかと会いたくないし、そもそも熊のテリトリーに入り込んでいるのは私やあなたの方なのです。
「熊は危険な動物!追い払おう!」ではなく、あなたが山に登るときは、クマのテリトリーに入っていることを十分認識し、クマと出会わないように最善の策を取らなくてはなりません。
また今から登ろうとする山で、クマの目撃情報があるかどうかを事前に確認しておくことも大事です。
厄介にも思えますが山にクマがいることは日本の自然が豊かな証でもあるのです。
この記事を読んだ人はこちらの記事も読んでいます
私のブログ収入獲得ストーリー!
登山ブログで月30万円の安定収入を得る私が参加した超おすすめプログラムとは?
登山ブログで証明!私のネットビジネス成功の法則とは?
大人気記事!!
- 初心者向け日帰り登山スポット 近畿圏
- 登山初心者向け日帰りスポット 関東編その1
- 登山用ヘルメット装着をおすすめ
- 歩くだけで30歳若返り!三浦雄一郎式トレーニングとは?
- 登山初心者の迷い・戸惑いを完全解決!
- 登山初心者を魅了!富士山登山の4ルート
- 登山のトレーニングについて 自転車編
- ウルトラライト登山で道具を知り尽くす
- ウルトラライト登山で道具を自由に自作
- ウルトラライト登山をあなたに指南
山でのトラブルの記事
カメラの記事
- 登山風景のカメラ撮影は至高の娯楽
- 登山風景のカメラ撮影 至高のテクニック 第一巻
- 登山風景のカメラ撮影 至高のテクニック 第二巻
- 登山風景のカメラ撮影 至高のテクニック 第三巻
- 登山風景のカメラ撮影 至高のテクニック 第四巻
コメントを残す