前回、登山計画書についてあなたにシェアしました。
こちらです↓
自由という名の登山計画書の書き方
「計画書」と言っても決して堅苦しく考える必要はない、ということをわかっていただけたのではないかと思います。
とはいえ、登山計画書には必ず書いておくべき項目があり、これが極めて重要です。
登山計画書を型にはまった書類にする必要はないのですが、必要なことを書いていないとただのメモになってしまいます・・
では必要なこととは何か?今回はそれをわかりやすく解説いたします。
では、どうぞ!
目次
登山計画書は万が一への備え
登山計画書とは、登山に行く前には必ず提出しておきたい、いや必ず提出すべき重要書類です。
あなたが万が一、山でトラブルに見舞われて下山できなくなった時に、警察から要請を受けた救助隊が最短時間であなたを救出するためのものです。
もしあなたが、登山計画書を出さないまま山に入り、そして身動きが取れない状態になったらどうなるか?
しかも、誰にも告げることなく単独行で山に入り、身動きが取れなくなったらどうなるか?
それって・・・ほとんど行方不明者と一緒ですよね?

1日や2日あなたがいなくなっただけで、警察はあなたを捜索などしません。
運が良ければ、1週間くらいで家族の誰かが、あなたと連絡が取れなくなったことに気づいて警察に通報してくれるかもしれません。
そこでようやく警察が救助隊にあなたの捜索要請してくれますが、救助隊は何の手がかりもない状態であるため、あなたを見つけるために何日もかかります。
発見されるまでの間、あなたは1週間以上身動きが取れない状態で山で過ごす羽目になるわけです。
それがどんなに大変なことか・・・想像もしたくありません。

それでももし救助隊があなたを発見し無事救助されたなら、あなたはものすごい幸運の持ち主と言えるでしょう。
運が悪ければ、あなたは救助隊に発見されることなく、そのまま山で野垂れ死・・・ということになります。
これは決して大げさに言っているわけでもなく、ましてあなたを脅している訳でもありません。
実際に山で発生する事例をそのまま文章にしているだけです。
では、もし登山計画書を事前にあなたの家族と警察に届けていればどうなるか?
例えばこんな状況です。
ある日、あなたは山頂目指して登山を開始しました。順調に山の中腹まで登ってきたところ、中腹のちょっと開けた場所に何やら巨大な岩を発見!
自分の背丈の3倍はあろうかという巨大な岩、上に登ってみたらさぞ気持ちいいだろうなあ!
浮かれ気分のあなたはロッククライミングを試みました。
凸凹が多く、ロッククライミング的には決して難しい壁ではありません。あなたはスイスイと登り、あと身体を岩の上にすべり込ませればゴールという、まさにその時。
岩の上の苔で手が滑り、あなたは岩から真っ逆さま!
悲鳴をあげる暇もなくあなたは岩から転落、幸いにも真っ先に岩の下の地面に落ちたのは足だったため、命に別状はありませんでしたが、足をグネってしまい痛くて立てません。
何とか助けを呼ぼうとスマホを取り出したものの、電波が全く立たず連絡も取れない。
他の登山家が登ってくる様子もないし、こんな山の中に民家なんかあるはずがない。
まさに絶体絶命の大ピンチです。
しかし、万一に備えて食料と水は多めにザックに入っており、ちゃんと分ければ3日間は大丈夫。ザックにはツェルト(簡易テント)もマットも入っています。
ビバーグ(緊急時の野営)の準備は整っています。
あなたは覚悟を決めて、救助をひたすら待つことにしました・・・
一方その頃、警察署では登山計画書の登山客の連絡を待っていました。登山客が下山すれば連絡があるためです。
ところが現在夜の9時。登山計画書には日帰り登山の計画が記載されており、夜の9時になっても連絡がないのは妙です。もちろん連絡忘れの可能性もありますが、計画書に記載されている番号にかけても一向につながらない。
緊急連絡先の家族に連絡してみるが、連絡はないという。
警官これは遭難に違いない!そう判断した警察は救助隊に遭難者救助を要請、救助隊は登山計画書内容をもとに、ライトを点灯させながら山へと救助に向かいました。
救助隊が山に入って約2時間。巨大な岩のすぐ脇にツェルトを張って寝ている登山家らしき人を発見!
救助隊〇〇さんですか?あなたはい!救助隊この計画書を書かれた方ですね?救助に来ました!もう大丈夫ですよ!3日間のビバーグをも覚悟していたあなたでしたが、結局1日も経過せぬまま無事救助されたのでした。
これは決してフィクションではありません。
先日、山で知り合った年配の登山家の方が実際に体験された話です。
登山計画書を提出しておくだけで、怪我で苦しみながらたった一人で野垂れ死するか、1日のビバーグをすることもなく救助され無事自宅へと帰るかの分かれ目となってしまうのです。
万が一の事態に備える
これは何も登山計画書に限ったことではありません。
あなたは車に乗る時、必ずシートベルトをするはずです。もちろん、シートベルトをしないと反則切符を切られるという理由もありますが、これはまさに万が一の事故への備えです。

あなたは生命保険に加入していますか?最近は長期入院保障のついたものやガン保険なるものも登場していますが、これらもまた万が一の病気や怪我への備えです。

たとえ登山歴数十年の大ベテランでも、海外の8000m級の山々を制覇して来た実力派登山家でも、油断すれば怪我をしてしまうし、怪我をすると登山初心者と同様に動けなくなってしまう・・・
いや、むしろベテラン登山家になればなるほど、そういう危険性を良く理解し、必ず登山計画書を作成し家族と警察に提出します。
あなたのおっしゃる通りです。
登山計画書のフォーマットは長野県警や日本山岳会がホームページ上で公開しています。
それをダウンロードして、作成してもいいでしょう。
とはいえ、やはり登山初心者のあなたが登山計画書を書くには、困難がともないます。あくまでも「計画書」ですから、やはり登山の計画を書かなくてはなりません。
今まで経験したことのないことについて計画を立てるわけです。難しいに決まってますよね?
そこで!
私があなたに登山計画書には最低限どんなことを、どのように書けばいいのかをシェアします。
これに従って計画書を作成すれば間違いありません。あなたの山での無事は保障されたも同然です!
登山計画書の書き方
自由という名の登山計画書の書き方の記事で、登山計画書にはこれだけ記載していればOKと書きました。
- あなたの住所、氏名、連絡先
- 登山の日程(登山開始から下山、バスの時刻まで)
- 登山ルート(帰りに乗るバスも含めて)
- パーティ登山ならば他のメンバーの氏名
- 緊急連絡先(連絡のつく人)
- 食料計画
- エスケープルート
- 山岳保険の会社名
1つずつ説明していきますね。
1.あなたの住所、氏名、連絡先
説明の必要はありません。
普通にあなたの住所、氏名、連絡先です。
個人情報保護が厳しい昨今ですが、提出先はあなたの家族と最寄りの警察署、安心していただいてオッケーです。
2.登山の日程
「初めて登る山の登山日程など、どうやって書くんだっ!!」
確かに・・・
熟練登山家出あれば、初めて登る山でも、過去の経験から「これくらいかな〜」とある程度の予想はできますが、登山初心者が書くのには少々難しいかもしれません。
時間の予想が難しければ、「山と高原地図(昭文社)」におおよその時間が記載されていますので
それを参考にしてもいいと思います。
ただし、少し余裕を持った日程を組むことを意識してください。
3.登山ルート
私個人的には登山ルートの計画立案が一番好きです。
どの登山口から登って、どの峠で一休みするか、どこでテントを張って、いつ登頂するか
考えるだけでもワクワクします♫初めて登る山ならなおさらです。
ここでも活躍するのも「山と高原地図(昭文社)」です。
登山ルートに必ず峠名が記載されていますので、それをたどる登山ルートが最適です。参考にしてみてください。
4.パーティ登山ならば他のメンバーの氏名
誰と登るか。もちろん重要です。メンバーの氏名や住所などの情報も必ず記載しましょう。当たり前ですが単独行の場合は不要です。
パーティ登山についての記事はこちら
↓
どんな登山も思いのまま!パーティー登山
単独行についての記事はこちら
↓
登山は1人で行うもの?
5.緊急連絡先
あなたの両親、配偶者、兄弟、子、友人などなど・・連絡のつく人ならば誰でもオッケーです。
ただ、もしあなたに下山できないトラブルが発生した場合、登山計画書を提出した警察署からそこに連絡が入ります。くれぐれも、それを考慮に入れた方が良いかも?です。
6.食料計画
2泊3泊くらいの行程の登山になると、これは極めて重要な項目になります。
言うまでもありませんが、やはり食料は多めに持って行くに越したことはありません。
ただ、だからと言って何でも詰め込めば良いと言うものでもありません。不要な荷物は、あなたの余計な負担になります。
私のオススメは、様々な種類の食料を用意し、いつどの種類の食料を食べるかを決めておくことです。
例えば、初日の昼は事前に握ってきたおにぎり、夜はご飯系のフリーズドライ食品
翌日は日持ちのする野菜を水で煮て、塩で味付けしたもの
その次の日はカレー系のフリーズドライ食品・・・
私の経験上、そうすれば食事に飽きることなく毎日の楽しみとすることができます。
注意点としては、トラブルで下山が遅れた場合を想定して各種類の食事を少し多めに用意することです。
7.エスケープルート
これは、登山中に予想外の悪天候に見舞われたり、何らかのトラブルが発生して急遽下山せざるを得なくなった時に素早く下山できるルートのことです。
一度でも経験のある登山ルートであれば、設定は比較的用意ですが、初めて登る山では設定が困難になります。
また、全ての山にエスケープルートが存在するわけではありません。
地図上ではショートカットできそうなルートに見えても、実際は非常に危険なルートである場合もあります。
そんな時は、トラブル発生時の引き返しポイントを決めておきましょう。
例えば、予想外に雨が激しくなりそうなので、引き返しポイントに到着してから天候の状況を見て
進むか引き返すかを決めようという感じです。
いざという時の引き返しポイントを決めておき登頂を諦める選択肢を設けておくことも大事です。
8.山岳保険の会社名
損害保険、生命保険、火災保険など様々な保険が存在する中「山岳保険」というものも存在します。
登山家を対象とした知る人ぞ知る保険かもしれませんが、登山家の中ではよく知られた存在です。
もちろん加入するに越したことはありません。
もしあなたが、遭難したり、怪我で動けなくなった場合、あなたを捜索、救助するための費用は、数十万円かかる場合もあります。
そんな時、山岳保険に加入しておけば遭難救助を補填してくれます。
ただ、これは絶対に必要なものではありません。
加入を希望するのであれば、各保険会社でその保証内容は異なるので比較して自分にあった保険を選びましょう。
最後に
・・・以上、登山計画書について簡潔にシェアしました。
要は、最低限1〜8の項目を押さえておけば登山計画書としての役割は果たす、ということなのです。
それさえ押さえておけば、様式も、文章も、紙媒体でも、電子データでも全くの自由です。
まるで短編小説を書くかのように、あなたが自由に書いていいのです。
私の場合、登山計画書と登山紀行文が一緒になったような、自由な山岳記事を登山の度に書いています。
「登山計画書という書類を作成する」と考えてしまうとどうもめんどくささを感じてしまうのですが、もはや登山計画書の作成は私にとって「楽しみ」です!
何事も捉え方次第ですね♫
あなたの想像力を存分に活かし、自由な「登山計画書」を書いてみてくださいね♫
そして書いたものを、あなたの家族と最寄の警察署へ提出です。お忘れなく!
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