登山をする人のスタイルを思い浮かべてみると、おそらく誰もが背中に巨大な荷物を背負った人を思い浮かべるのではないでしょうか?
言うまでもなく、登山を行うには様々な衣服や道具、食料を持参する必要があり、それらをまとめて運ぶために絶対に必要な最重要登山道具がザックなのです。
かつてザックはただ荷物を入れて効率よく運ぶためだけのものでした。でかい唐草模様の風呂敷に荷物を包み込んでヨイショッと背中に担ぐ、時代劇ではよくみるシーンです。まさにザックの起源とも言うべき形ですね。
それからザックは徐々に進化を果たします。
より多くの荷物を詰め込めるように
より軽く感じるように
より背負いやすくするように
より快適に背負えるように・・・
多くのメーカーが先を競うように次々と最新のザックを発表、その結果多くの多機能ザックが登山ショップに並ぶようになりました。
私自身も登山スタイルに応じて、5種類のザックを使い分けています。
今回はそんなザックについてのお話です。
単なる荷物を運ぶための風呂敷から、どのようにして最新のザックへと進化を遂げたのか?
そして登山初心者のあなたにピッタリなザックはどれか?
是非ともこの記事を読んで、あなたのザック選びに役立ててください!
目次
登山用ザックのメーカー1 登山用ザックって?
あなたは普段どんなカバンを持ちますか?
- ハンドバッグ
- クラッチバッグ
- ショルダーバッグ
- ビジネスバッグ
- ボストンバッグ
- キャリーバッグ
- スーツケース・・・
仕事中は、ビジネスバッグやキャリーケース、スーツケースを持つ人が多いかもしれません。

プライベートでは、ハンドバッグやクラッチバッグ、ショルダーバッグ、トートバッグなどを持つでしょうか?
中には「俺は必要なものは全てポケットに入れるのでカバンは持たないんだ」という人もいるかもしれません。
私は仕事中もプライベートも大きめのトートバッグを愛用しています。電車の中でも中の書類をパッと取り出せるので非常に便利です。
あなたもその状況に応じて便利なカバンを使いたいですよね?
ビジネスで数ヶ月海外に行くのにクラッチバッグだけで行く人はいないはずです。スーツケースに荷物をパンパンに詰めていきますよね?
では、登山ではどうか?
もちろん登山でも登山をするために便利なカバンが存在します。それがザックです。言い方は他にもリュックサック、バックパックなど・・
ちなみに、主に海外をザック1つで転々と旅する人をバックパッカーと言いますよね。この記事ではザックで統一しますね。
で、それは一体どんなものか?

これです。
普段の生活で、これの小さいサイズを使っているという人もいるかもしれません。見た目は確かに背中に背負うタイプのカバンに見えなくはないかも?
実はこのザック、登山というシチュエーションにおいて絶対に欠かせない必須のものなのです。
登山用ザックのメーカー2 衣食住の全てをザックに
テントでの宿泊を伴う登山ではザックには何が入っているか。
- 着替え
- 洗面用具
- 食料
- 水
- 携帯用ガスコンロ
- コッヘル
- 寝袋
- マット
- テント
- レインウェア・・・
人によっては本やカメラ、お酒を入れる人もいます。
あなたはこれらの物を見て、何を思いましたか?もしあなたがアウトドア、特にキャンプが好きならばピンときたかもしれません。
実は、これだけの物が揃っていれば、キャンプができてしまうのです。
水と食料で食事をとることができ、衣服もあり、夜になれば寝袋とマット、テントで就寝・・・
つまりザックには、人の生活に欠かせない衣・食・住全てを詰め込むことができるのです!
登山とは、生活に必要な衣・食・住の全てをザック1つに詰め込んでを山を動き回る活動なのです。
人の生活に欠かせない衣・食・住の全てを背負う・・・私は、登山のそんな所にたまらない魅力を感じるのです。
当然ですが、普段の生活で登山用のザックを使う必要は全くないでしょう。邪魔にしかなりません。
登山用ザックのメーカー3 ザックの歴史
そんな魅力溢れるザック。もちろん、今主流の最新ザックがいきなりポンっと生まれたわけではありません。
アウストラロピテクスから始まる人類に数万年にも及ぶ歴史があるように、ザックにも長い歴史があるのです。もちろん、人類ほど長いものではありませんが。
狩人と薪運びのためのザック
もともとザックというカバンが存在していたわけではありません。ザックというカバンを文章で表現するとこうなります。
「布あるいは皮革でできた袋を両肩に回した帯によって背中に負うタイプの袋」
こういうタイプの袋が活躍する職業・・・今ではちょっとわかりずらいかもしれませんが、当時、獣を仕留めて生活の糧とする狩人に非常に重宝されました。

当時、獲物を担ぐための袋は一方の肩だけに掛けるものであったため、重量のある獲物を運ぶと肩を痛めやすく、安定感がなかったのです。
この袋が考案されたことによって、重量のある獲物でも安定して運ぶことができ、また肩を痛めることもほとんどなくなりました。
安定して物を運ぶための袋・・・今のザックに相通づるものがありますよね!?この時の袋はまさに今のザックの祖先ともいうべきものであったわけです。
日本でのザックの祖先といえば、やはり背負子です。生活に欠かせない火を焚くための薪を山へ取りに行き、その薪を背負子に乗せて持ち帰りました。
「おじいさんは山へ柴刈りに・・・」と、日本でも最も有名なフレーズにもあるように、この時おじいさんはザックの祖先である背負子を背負って山へ登ったのです。

実は背負子は今でも使用されることがあります。主に、山小屋へダンボールやクーラーボックスの資材を運ぶための使用がほとんどですが、背負子の特徴である、背負った時の安定感、スタイリッシュな見た目、頑丈さからザックよりも使いやすいと言われていた時期もありました。
結局、背負子は岩場での歩行が困難になる等の理由で、ザックに主役の座を明け渡しましたが、山行スタイル次第では非常に使い勝手の良い道具です。
登山用道具として日本に伝わったザック
さて、時代は進んで大正時代。レジャーとしての登山が始まった時代です。
それまでは、山は信仰の対象として捉えられていました。比叡山や高野山に代表されるように、山登るという行為はあくまでも修行であって、レジャーとして山に登るという考えはありませんでした。
そのため、現代のように山に多くの荷物を持ち運ぶという発想がなかったのです。
大正に入り登山がレジャーとして捉えられ始めた頃、登山家が背負う荷物はそのほとんどが背負子であり、またちょっとした小物類を入れる肩掛けカバンが主流でした。
そんな中、とある外国人によって数々の登山道具や登攀道具が伝わり、その中の1つにザックがあったのです。
一説によると、ザックというものの存在を日本に広めたのは、明治、大正に活躍した登山家の岡野金次郎氏です。
彼は、勤務先の書棚にあったウォルター・ウェストンの「日本アルプスの登山と探検」という山岳文学の個展を読み、大いに感銘を受けてウォルターの家を訪ねたのです。
ウォルターは岡野氏を歓迎し、家へ招き入れました。そこで多くの登山道具、登攀道具を紹介し、使い方を懇切丁寧に教えたのです。
それらは当時、日本には存在しないものばかりであり、岡野氏の興味は尽きませんでした。中でも特別興味を引いたのがザックでした。なぜなら、当時主流だった背負子や肩掛けカバンの欠点を見事に克服したものであったためです。
日本の登山史に大きな変化が訪れた瞬間でした。
キスリングの流行
あなたはキスリングというタイプのザックを知っていますか?これです↓

中央の主荷室の両サイドに大きな縦長の大きなポケットを備えたタイプのザックです。
昭和4年、スイスのヨハネス・ヒューク・キスリング氏が製作したザックが日本に伝わり、それを元に改良、製造されたザックです。中の荷物を3つに種別することができて、取り出しやすい点が評価され大ヒットしました。
昭和の登山史を物語る多くの写真が残されていますが、そこに写る多くの登山家の背にはキスリングがあります。キスリングが当時の主流だったことがよくわかります。


登山用ザックのメーカー4 多種多様のザック
さてキスリングの流行から、カバンを背中に背負うことの有効性が認識され、後に多種多様なザックが考案されました。
こちらです↓
ザックの種類 | 用途 | 形状 |
---|---|---|
デイパック | 日帰りハイキングに使う、1日分の荷物が入る程度のナップサック。 | ![]() |
アタックザック |
|
![]() |
サブザック | メインのザックに入れておき、ベースキャンプからアタックする際、あるいは荷物の大半を置いて近くの峰まで往復する際に用いる小型軽量のザック。未使用時に小さく折りたためるタイプが主流。 | ![]() |
もちろん、ザックが登山のみで使用されるわけではありません。電車でデイバックを背負って本を読んでいる若者もいれば、ハンドバッグに小さく折りたたんだサブバッグを入れている女性もいます。
私自身も、デイバッグをビジネス用に使うことがあります。特に東京への1〜2日の出張では、デイバッグに着替えや洗面道具、スマホの充電器等を入れて新幹線に乗ります。
キスリングから端を発した日本のザック史が、日本のカバン業界全体へ大きく影響を及ぼしていると言えるでしょう。
登山用ザックのメーカー5 現在の登山用ザック
海外、主にヨーロッパやアメリカから輸入された多機能でスタイリッシュ、そしてタフなザックが石鹸するようになった現在。これだけのメーカーのものが日本でも容易に購入できます↓
マムートは、スイス・アールガウ州ゼオンに本社を置くマムート・スポーツ・グループ(Mammut Sports Group AG )が展開するスイスの登山用品製造ブランド。MAMMUT(マムート)はドイツ語で「マンモス」を意味する。 1862年にカスパー・タナー(Kaspar Tanner )によってレンツブルグ近郊のディンティコンで設立された。世界50以上の国・地域で展開されるグローバルブランドである。 クライミングロープの製造から始まり、アルパイン(登山/クライミング)用品に強みを持つ。 |
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1975年に現会長の辰野勇が大阪市西区立売堀にて創業。 “Light & Fast”“Function is Beauty”をコンセプトにテント、バックパック、寝袋、登山靴、レインウェア等各種アウトドア商品を扱う。 2011年には創業者が高齢のために廃業したカジタックスの事業を継承した。 モンベル製品を専門に取り扱う「モンベルクラブショップ」を国内外で展開している。2017年現在、グループ全体での従業員は970名を数え、アメリカとスイスにも現地法人を設立している。 |
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1898年アウクスブルクで創業、当初は郵便局員が使用する袋の製造をしていた。1930年に背中の汗濡れを軽減するためリュックサックが背中に密着しない世界初のモデル、タウエルンを発表。1938年にアイガー北壁を初登攀したアンデール・ヘックマイヤーが使用し信頼性を証明した。戦後はドイツを代表するリュックサックのブランドに成長、1971年にドイツ最大のリュックサックメーカーとなった。1984年には背中側にメッシュパネルを張ったエアコンフォートシステムを開発して特許を取得している。 2015年現在でも優れた背面通気性が特長であり、それに加えてデザイン、身体の動き、荷重の分散など登山用リュックサックとしての機能に優れた製品を作っている。SLシリーズは女性の体格に合わせて専用設計されている。 |
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アルピニズム発祥の国イギリスのアウトドアブランドである。
その語源は「carry more=もっと運べる」。 |
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フランスのアウドドア用品メーカー。バックパック、寝袋等を製造している。 現在のオーナー企業はラフマ(Lafuma )である。 | |
アウトドアや登山用の高性能バックパックを製造するアメリカ合衆国のコロラド州の企業である。 | |
アウトドア用品や衣服、登山用具の制作・販売を手がけるアメリカ合衆国の企業である。山岳で登山が難しい北側のことを指すノース・フェイスが社名の由来である。 | |
アメリカ合衆国ユタ州ソルトレイクシティにある登山用品メーカーである。 創業者のピーター・メトカーフはニューヨークのマンハッタンで生まれ、その後郊外に引っ越して自然に親しむようになった。ボーイスカウトに入団して登山に目覚め、15歳の夏にビギナー・ロッククライミング・ウィークエンドという講習会に参加、その翌年には有名な登山学校NOLSで5週間のコースを履修した。1982年にイヴォン・シュイナード率いるシュイナード・イクイップメントのセールスマネージャーとなった。 |
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スウェーデンのアウドドア用品メーカー。バックパック、衣料品等を製造している。 ブランド名は創業者であるヴィクトル・ホグロフに由来する。 |
登山用ザックのメーカー6 登山工程で使い分けるザック
では登山用ザックとは一体どういったものなのか。まず、大きさです。
いくら衣・食・住を詰め込むといっても、1泊程度の登山や日帰り登山ではその量は限られます。一方、2〜3泊のテント泊を伴う山行ですと、かなりの量の物資が必要です。
従って、ザックの大きさは10L程度の小さめのザックから90Lを超える大型のザックまで様々です。
では、どの登山にどの大きさを選べばいいのか?
これについては一概には言えません。あなたがザックに何を入れるかわからないからです。
また、あなたが登山を行なう季節次第でもザックの大きさは変わってきます。
例えば、春の日帰りハイキングだとザックには何を入れるか。
- 着替え
- 弁当、水筒
- タオル
- レインウェア
- 地図
最低限これくらいあれば困ることはないでしょう。だとするとザックは10L~20Lのサイズで事足ります。
では、テントでの宿泊を伴う登山では、ザックに何を入れるか。
- 着替え
- 洗面用具
- 食料
- 水
- 携帯用ガスコンロ
- コッヘル
- 寝袋
- マット
- テント
- レインウェア・・・
これだと70L以上のサイズは欲しいところですね。
これがさらに雪山登山となると、90L以上のザックが必要になってきます。雪山登山ではザックに詰めるべき衣服が増えるためです。
あなたがザックを選ぶときに必要な考え方は「大は小を兼ねる」ということです。
これは私の経験則ですが、ザックのサイズは大きいに越したことはありません。
ザックの中身に余裕があったほうが中のものを取り出しやすいし、必要なものを全て詰めて多少ブカブカであっても、ベルトでギュッと絞ることで適度な大きさにすることができます。
だから、もしあなたが登山ショップでザックを選ぶならば、多少大き目のものを選ぶことをオススメします。ただ、店員さんには相談してくださいね。
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