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山で負った自分史上最悪の怪我とは?前編
今回は後編です。それではどうぞ!
目次
最悪の怪我にまつわる私の体験談 後編
6月某日 10時。朝ではありません。夜10時です。
私は奈良県のとある駅に到着したところです。

背には60Lのザック、もちろん登山スタイルです。真夜中からの登山・・ではありません。
夜に山岳会のメンバーが集合し、そこから車で山の麓へ向かうという手筈です。
山の麓にはテント場があり、大型のテントに皆でそこで一泊するというわけです。

そうすれば、次の日早朝からゆったり時間に余裕を持って登山ができる!
かつて私が比良山系の山を1人で登るときも、始発の電車に乗って山へ向かっていました。
メンバーは、老若男女様々10名。職業もバラバラです。自営業、弁理士、医者、営業、フリーター、主婦などなど・・そして医者。
入会してから4ヶ月の間に山岳会のメンバーとパーティー登山を数回。メンバーにもすっかり溶け込んでいたのでした。私もすっかり山岳会メンバーの一員です!
車三台に分乗し、一路山の麓へ。3時間ほど車に揺られ、ようやく山の麓に到着。時計はもう夜中の2時を指していました。
全員で一致団結して5名用のテントを1つ、3名用のテントを1つ、2名用のテントを1つを設営。
当然街灯などない山の麓。全くと言っていいほど何も見えない真っ暗闇でしたが、テントを組み立てるのに苦はありませんでした。
大げさじゃなく、本当にそれくらいの技術が身についていたのです。
手際よくテントを組み立てた山岳会メンバーは、明日に備え、すぐにテントに入り就寝。疲れていたのですぐにぐっすり眠りに入りました・・・
翌朝、6時・・くらい。1人また1人とのっそりと起きて、山の清々しい朝を味わう山岳会メンバー。

10分もすると全員がテントから出て、朝ごはんの準備が始まりました。
メニューは味噌と山菜入りの雑炊。山菜はそこらへんに生えていたものです 笑
見るからに美味しそうな雑炊です!・・がテントの片付け、登山準備などがあるので、みんなでテーブルについて「いただきまーす!」というわけにはいきません。
みんなそれぞれ仕事をやりつつ、手の空いたものから順に自分のコッヘルによそって食べます。
私もテントを片付けて自分の登山準備を終えてから雑炊にありつきました。
自然のものをそのまま調理し食べる。これもまた、登山の楽しい一面です♫
片付けが終わり、登山準備も終えて、いよいよ出発。
パーティ登山の場合、全員が一列に並んで歩くのですが、誰が先頭を歩くかは決まっています。
先頭はそのパーティのリーダーです。後ろは副リーダー。その間にあまり経験のない者が入ります。
私はそこそこ経験があるつもりでしたが、リーダーや副リーダーと比べるとまだまだド素人。勉強のつもりで間に入れてもらいました。
そうして山を歩くこと数時間・・山あり、は当たり前で、川の中、滝の上、崖登り・・
登山のエッセンスがギュッと凝縮されたような登山ルートを順調に進む中、私のテンションは・・それはもう!!上がりっぱなしでした 笑
もちろん、6月の川の中はまだまだ冷たいし崖登りでは手が痛いし・・
でも、そんな中私は終始笑顔でした。
山岳会メンバーとの登山、休憩中の談笑、登山中の辛くてシンドい工程も全て含めて、私にとってはこれ以上ない娯楽でした!
そんなこんなで山を登り始めて5時間は経ったでしょうか。
昼の1時、少し長めの休憩後、この山の最大の難所に差し掛かりました。
約20mの岸壁です。ここをロッククライミングで登るわけです。
難所といってもデコボコした石や岩も多く、ロッククライミング的には決して難しい壁ではありません。
ベテランのリーダーが先に登り、ロープを崖上の丈夫な大木にくくりつけました。
そのロープを自分のハーネスに括りつけることでクライミング中の滑落に備えるわけです。
1人ずつ登ることになりました。
さっそく私はハーネスを装着し、ロープの準備をして、私の順番を待ちました。
当然、私は待っている間も笑顔。早く登りたくてもう!ウズウズしていました。そして、いよいよやってきた私の番。

斜面はほとんど90度のまさに「壁」でしたが、ロッククライミングジムで基本的な登り方が身についていた私には特に難しいものではありませんでした。
5分もかからずに、難なく岸壁の上に到達した私を先に登ったメンバーは口々に褒めてくれました。もう天にも登るような気持ちの私 笑
そして岸壁の上からさらに奥に向かおうとしたその時でした。
目の前の樹木を避けて奥に向かおうと、その樹木に手をかけて岸壁側に体を傾けてしまったのです。
樹木には私の体重がかかり、樹木はバキッと折れました。
岸壁側へ体重を傾けたまま樹木という支えを失った私は、地面に叩きつけられるように転倒。
そのまま今登ってきた岸壁へ向かってものすごい勢いで転がり・・・
2度の体への激痛の後、気がつけば深さ10cmほどの水面に倒れていました。
何が何だかさっぱりわからないまま、そして身体中に激痛を抱えたまま起き上がると山岳会メンバーが岸壁の上で大騒ぎしていました。
ふと、激痛の走る額に手をやるとべったりと私の血が・・
この時、自分に何が起こったかまだわかりませんでしたが、1つだけははっきりとわかったことがありました。
私は20m上の岸壁から滑落した・・・
それからなんとか山岳メンバーに助けられ、応急処置をしてもらった私。
その時点で自覚している症状はこれだけです。
- 額の裂傷
- 肩の脱臼
- 歯の欠損
- 首の強烈な違和感
首になんらかのダメージがあるのは明らかでしたが、この時まだその正体は不明でした。
首の強烈な違和感をメンバーの1人である医者に伝えると、彼は私を山の麓まで運ぶのはあまりにも危険と判断、ドクターヘリを呼ぶことにしたのですが・・・
私たちがいた場所があまりにも山奥であったため、全員の携帯が圏外・・1本の電波も立つ様子はありませんでした。
そうこうするうちにも衰弱していく私の体。そうして、私たちは決死の覚悟で約6時間かかって登ってきた登山道を降りることになったのです。
激痛に耐えながら、首の強烈な違和感に耐えながら、10名の山岳会メンバーに助けられながら、約5時間後、どうにか私たちは山の麓にたどり着いたのです。
そこにはすでに救急車が待機しており、私はそのまま病院へと搬送されました。
病院に搬送された私は、そのまま治療室へ運ばれ、真っ先に首の状態をMRIで検査することになりました。
そして告げられた驚愕の事実・・
レントゲン写真を見た登山メンバーを含めた医者全員が、背筋の凍る思いをしたそうです。
なんと私の首は真っ二つに折れていたのです!とは言っても、折れて曲がっていたわけではないのですが。
もし山でほんの少しでも首に衝撃があったら、骨の中を走る神経が切れて良くて半身不随、最悪死亡していたそうです。
実際に私と同様の怪我を負った人の多くが一生涯を半身不随のまま、もしくは死亡しているとのことです。
こうして山で九死に一生を得た私は、数年前のある夏を病院の中で過ごすこととなったのでした・・
怪我を乗り越え再び単独行の世界へ・・
これが私史上最大の怪我を負った話です。
命の恩人である山岳会メンバーは、入院中に何度もお見舞いに来てくれたり、差し入れを持って来てくれたり、退院後も連絡を取りあったりしてました。
しかし、やはり最も迷惑をかけてしまった家族の手前、山岳会は辞めざるを得ませんでした。
それから約5年の月日が流れ、ほとぼりも冷めて?再び山に登り始めています。
単独行の世界に再び戻って来たわけです。
油断、気の緩みが怪我を招く
私が山で首の骨を折るという大怪我を負ってしまった原因はもちろん、私自身の未熟さ、油断が最大の原因であることに間違いはありません。
ただ、たとえどんな状況であっても、自分のちょっとした油断が大怪我につながる登山という場面では、仲間と一緒にいるという気持ちの油断は怪我に繋がりやすいとも考えなくてはならないでしょう。
私はこの怪我による山への気持ち、情熱への変化は一切ありません。相変わらず山への情熱を持ち続けています。
私は、今回の怪我は今後の登山家人生を送る上での授業料だと考えることにしています。
あなたが、この記事を読んでどのように感じたかわかりませんが、この記事を読んで山での怪我人が1人でも減れば最高だと思います。
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山で負った自分史上最悪の怪我とは?前編
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はじめまして。社会人で趣味で登山をしています。登山経験は学生時代に3年間と社会人になってから1年ほどです。今シーズンから雪山も始めました。私も昨年10月に劔岳の前劔あたりで滑落して尾骨骨折を経験しました。松浦さんの怪我と比べたら大したことないですが、一歩間違えばそのくらいの怪我をしていたと思います。登山は本当に危険なものだと思います。その危険は油断した時に不意に襲ってきますね。
同じ社会人で登山している人間として共感できるところがあったのでコメントさせていただきました。
他の記事もいくつか拝見させていただきました。今後の登山の参考にさせていただきます。ありがとうございます。
宇野様
コメント本当にありがとうございます!
宇野様がおっしゃるように、登山は本当に危険です。でも、それをはるかに上回る魅力で溢れており、もう一生涯山に登り続ける事になりそうな予感がしています。
宇野様も劒岳で滑落を経験されていますが、確かに一歩間違えれば本当に大変なことになっていたかもしれませんね。でもきっと宇野様もそれで登山をやめようなんて、これっぽっちも頭になかったのではないでしょうか?記事にもあるように、私も首の骨を折る大怪我で2ヶ月半入院生活を送りましたが、実はその時も次の登山計画を立てていました 笑 いつか宇野様と山で出会えたらこんな素晴らしいことはありませんね! ではまた